今を遡ること、130年以上前。
法善寺境内に、ちょっと変わった善哉屋が開店します。
文楽の太夫、竹本琴太夫こと「木文字(きもんじ)重兵衛」という人が
はじめた「お福」という名のお店です。
何が変わっていたかというと、一人前なのに二杯のお椀に分けて
善哉が出てきたからです。
「へぇー、こら変わっとる。なんで二つや」。
聞かれると、実際にお店を切り盛りしていた
重兵衛の妻「こと」と娘「かめ」はニッコリ笑って
「おおきに。めおとでんね」と答えたといいます。
実際は、二杯のお椀に分けた方がたくさん入っているように見えると
考えたからなのですが、これが大当たり。
その後の「夫婦善哉」へと繋がっていったのです。